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酉年

2005年1月 No.22号

『一日を十倍楽しむ方法』

あけましておめでとうございます。

何だか一年がすごく速く感じます、この前オールジェクサーの大会で連続優勝、短水路大会、オープンウオーター、区民大会、等があり、又もうすぐオールジェクサーの大会が迫ってきます。こんなに一年が速く感じるのは私だけでしょうか?

フランスの心理学者で精神病理学者のピエール・ジャネは『人生における時間は、その人の暦年齢に反比例して感じられる』という説を唱えている。つまり十歳の子供が感じる一日二十四時間は、六十歳の人にとっては四時間にしか感じられないのである。時間を長く感じるのは、変化や感動がある時である。(ほんとかね!)

子供の時は変化があった、学校には時間割があり、国語、英語、給食、放課後、等という時間があった。試験があり夏休みもあり、入学、卒業もあった。大人は、どの日もどの月も、同じ仕事、同じ家事に明け暮れる。変化があるとすれば、病気やもめ事位しかない。とりわけ現役を離れると、毎日が日曜日。だから一日も一年も、あっという間に過ぎてしまう。(まさか俺の事かな?)

では、どうしたら良いのか?

貝原益軒は「養生訓」の中で、「老後は、若き時より月日の早き事、十倍なれば」と前置きした後、老年の時間哲学をこう語っている。

一日を十日とし、十日を百日とし、一ヶ月を一年とし、喜楽して、あだに、日をくらすべからず。「一日を十日分ぐらい楽しみ、無駄に過ごしてはいけない。」と言うのである。

では一日を十倍に拡大するにはどうしたら良いのか?

実は子供の時の時間は、大人が振り返ると長く思えるのであって、子ども自身にとって一日はあっという間に過ぎている、つまり変化や感動は時間を忘れさす。

何かに夢中になっている時間はあっという間に過ぎてしまう。恋人と二人でいる時間もあっという間に過ぎてしまう。しかし、そうした時間は後で考えると長い。長いというより深いと言った方が良いかもしれない。

時間が深いというのは、直線的な時間ではなく、曲線的な時間といってもいい、直線の24時間も、曲線で深く垂れ下げる事が出来れば、百時間にも二百時間にも拡大が出来るのである。

読書や音楽、演劇、映画などで我を忘れた時間、未知の土地や文化にふれた新鮮な時間、あるいは深い信仰や愛のきわみを体験した時、時間を忘れさせあっという間に過ぎるが、時間は深々と内部に蓄えられて行く。

一日が十日になるのである。

今年は貝原益軒の「養生訓」を見習って、毎日が変化、感動の連続であるよう頑張りましょう。

             

四ッ谷遊泳塾編集部A

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